【報告】補助犬ショーを通して考えた、「ほんとうのバリアフリーって?」
- Sato Mami
- 2014年12月29日
- 読了時間: 4分
&_Canvasは、「耳が聞こえない人は何も出来ない」と思われがちな今の社会を変えるためにはまず、「聞こえない人一人ひとりが持っている様々な力を見ていただくこと」を考えています。
そのための方法として「イベント」があり、そのイベントでは「ショー」「ステージ・パフォーマンス」「マルシェ」を通して、個々の力を皆さんに見ていただけるようにしています。
しかし、その一方、「耳が聞こえない人同士」「耳が聞こえない人と他の障害者」の間にも壁が立ちはだかっているという現実もあります。
簡単な例では、同じ耳が聞こえない人同士なのに、手話が出来る人は手話が出来ない人に対して壁を作り、また、同じ障害を持つ人同士だとお互いのことはよく分かるのに、違う障害を持つ人同士だと途端に距離をおいてしまう・・ということがあります。
こういう現状はなぜ起こるのか?
それはひとえに、「知らないから」・・つまり、自分が持っている障害のことはよく知ってても、他の障害のこととなるとどういう障害なのかをよく知らない・・
または、手話で育ってきた環境を持つ人同士だとお互いに理解し合えるのに、手話で育ってきた人と手話を知らない人同士だと、同じ障害を持っていてもお互いに「自分とは違う人間だと思ってしまう」・・・これも、相手を取り巻く環境の実態を知らないから。
そのため、いくら、わたしたち障害を持っている人が「自分の障害を理解して!」と叫ぶだけでは何も変わりません。
大事なのは、同じ障害を持っていても違う環境で育ってきた人のことを理解すること、また、別の障害を持っている人たちのことを知ること・・・これも必要だと思っています。
つまり、外に向けて叫ぶだけでなく、内部からも壁をなくしていくようにすること・・・
これが出来てはじめて、【ほんとうの意味でのバリアフリー】ができるのではと思っています。

(画:マモさん)
そこで、今回は特定非営利活動法人MAMIE様と特定非営利活動法人日本介助犬アカデミー様からもご協力いただき、補助犬deファッションショーも開催することにした次第です。
ここで私自身も色々と知ることができました。
まず、人間の暮らしを支えてくれる役割を持つ犬は1つではなく、様々なタイプがあります。

1:介助犬・・・手や足に障害のある方の日常生活をサポート
(介助犬クロエちゃん)

2:盲導犬・・・目に障害のある方の日常生活をサポート
(盲導犬スタフィーちゃん)

3:聴導犬・・・聴覚に障害のある方の日常生活をサポート
(聴導犬サスケ君)
このように、様々な役割を持つ犬が様々なところで活躍しています。
そして補助犬ユーザーにとっては、補助犬は愛する家族であり生活の一部となっています。
また、近年、補助犬に対する認識が広まってきたのと同時に、補助犬に対する誤解も多々生まれてきているようです。
例えば、補助犬は仕事中はおしっこを長時間我慢させてる、とか、傷つけても吠えない、とか。。。
また周りの方々も補助犬に対する知識が乏しいため、仕事をしている姿を見て「かわいそう!」と言ったり、勝手に餌をやろうとしたり・・ということもあるようです。
その解決として、「どうせ犬だから」とこき使うのではなく、きちんと愛情を持ってしつけをした上で、生活をともにしながらサポートをしてもらっている、という信頼関係を中心にショーを通して見ていただき、その上で補助犬の普及をしていただきました。
また、実は同じ耳が聞こえない人同士でもやはり、聴導犬とともに暮らしている方のことを理解できない方も多々いるようです。
そういう方に対しても、「聴導犬とともに暮らすとこんなに良いことがあるんだよ」ということを知って頂くためにもショーに出ていただけたことはとても良かったと思います。

(補助犬ショーで。NPO法人日本介助犬アカデミー協会の藤村さんと)
一番大事なことは、
・自分がこういう方法で暮らしていけてるからといって、同じ障害を持つ人に自分と同じやり方を押し付けない
・自分とは違う方法で暮らしている人がいても、その人にはその人なりのやり方で生きていることを理解する
・自分とは違う障害を持つ人のことを知っていく気持ちを持つ
・・・その上で、皆さんで協力し合いながら外に向けて発信していけると良いな、と補助犬ショーを通して感じました。
違う障害を持つ人同士がともにイベントをやる、ということは本当に難しいし大変なことです。
同じ障害を持つ人だけでイベントをする方が本当はずっと楽です。
でもそこをあえて一緒にやり遂げるということは、お互いを知るという意味でも本当に大きな意味があったと思います。
それは、耳が聞こえる人と聞こえない人だけでなく、別の障害を持つ方々に対しても言えることなのだと強く感じました。
最後に、ご協力いただいた特定非営利活動法人MAMIE様、特定非営利活動法人日本介助犬アカデミー様、ありがとうございました。
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